新規モデル · 2026.10.23

FlintのローカルLLM:オープンな40Bコーディングエージェントは個人PCで動くか

オープンなコーディングエージェントモデルを個人環境で使えるか確認します

Flintは、Recursiveが2026年10月に公開したコーディングエージェント向けのMoE1モデルです。総39.8B、トークン2あたりの有効パラメータは約2.5B、コンテキストは262,144トークンです。ベンダー評価ではTerminal-Bench 2.1で54.9%、SWE-bench Pro v2で89.7%、SWE-bench Verifiedで74.2%を記録しました。ただし公式の実行手順はB300またはH200のGPU3 1枚を前提とし、Transformersのモデリングコードはまだ提供されていません。個人PCで使うには別途配布されたGGUF4とllama.cpp系の実行環境が必要で、その経路の性能はベンダーの数値と異なる場合があります。

実行条件と要点
  • 総39.8B・有効約2.5B、コンテキストは262,144トークンです。
  • 公式の実行環境はB300またはH200のGPU 1枚です。
  • GGUFは別配布で、サーバーの性能と同じではありません。

コードベースを自分で調べるエージェントモデルです

Flintは、リポジトリを調べてバグを直し、機能を実装し、テストを書くコーディングエージェント向けのモデルです。テキスト入出力、推論、複数回にわたるツール呼び出し5を扱えます。構造はデコーダ専用のMoE Transformer6で、49層のうち2層が密層、47層がMoE層です。各MoE層では256のエキスパートから6つを選び、常に計算する共有エキスパートが1つ追加であります。

アテンション7は35層が513トークンの短い窓を使い、14層が全体アテンションを使います。短い窓の層はKVキャッシュ8が少なくて済むため、長い会話でのメモリ負担が減ります。262,144トークンのコンテキストはプロンプト9と生成結果を合わせた長さです。

オープンなコーディングエージェントを個人PCで使うには、モデルのスコアより実行環境を先に確認する必要があります。この記事はその順でまとめています。

ノートPC画面のチャット・コード・フォルダの窓が1つのモデルブロックに集まり、隣に黒い小型本体が置かれた図
コードベースを自分で読み書きするエージェントなので、ハーネスとツール権限はスコアと同じくらい重要です。

公式の実行環境はサーバーGPUです

ベンダーが案内する実行方法はGGUFやllama.cppではなくSGLangです。約80GBの重みを取得してSGLangイメージを構築し、B300またはH200のGPU 1枚でサーバーを起動します。アドレスは127.0.0.1にバインドされ、準備ができると/health_generateで状態を確認します。Transformersのモデリングコードはまだ提供されていないと明記しています。

この手順は個人用PCを前提としたものではありません。B300とH200はデータセンター向けのGPUで、個人が購入する機器とはメモリ構成が大きく異なります。個人環境で使うには別途配布された量子化10GGUFを使う必要があり、その経路はベンダーが測定したものとは別の実行環境で動きます。

ベンダーのスコアの測定条件を先に見ます

ベンダーはTerminal-Bench 2.1で54.9%、SWE-bench Pro v2で89.7%、SWE-bench Verifiedで74.2%を報告しています。モデルカードは評価条件も記載しています。温度1.0、top-p 0.95、top-k 20を使い、Terminal-BenchはTerminus 2、SWE-benchはmini-swe-agentハーネスで測定しました。エージェントのスコアは最低5回試行のpass@1平均です。

モデルカードは比較の限界も明示しています。出典ごとに評価環境が異なり、表のスコアのうちベンダー自身が測ったものには印が付いています。FlintのTerminal-Benchスコアは、ウェブ検索で得た解を失敗として数える補正を適用しており、他の開発元が報告したスコアには同じ補正がない可能性があると記載しています。表で2つの数値を並べるときはこの違いを考慮する必要があります。

個人環境ではまず対応状況を確認します

個人PCで試すには2点を先に確認してください。1つは使う実行環境がこの構造に対応しているかです。Flintは35層のスライディングウィンドウアテンション、学習されたアテンションシンク、ヘッドごとのRMSNormなど、一般的なllama系とは異なる構造を使います。実行環境がこれらを実装しているか公式文書で確認しないと、ファイルを取得してもエラーになります。

もう1つはメモリです。総39.8Bの重みを4bitにしても元の4分の1程度は必要です。262Kのコンテキストを最後まで使うと、選択されたエキスパートだけを計算するとしてもKVキャッシュが積み上がります。短いコードレビューから始めてコンテキストを増やし、余裕を確認するほうが安全です。

ケーブルでつながれたノートPCと小さなハブ、4つのモジュールが入った黒いラック本体
公式の実行経路はB300・H200のサーバーGPUです。個人PCは別のGGUFと対応する実行環境を確認する必要があります。

エージェントハーネスと権限も合わせて見ます

コーディングエージェントのスコアはモデル単体で出るものではありません。どのハーネスがファイルを読み、コマンドを実行し、失敗を再試行するかも結果に含まれます。ベンダーもmini-swe-agentハーネスを使ったと明記しています。自分の環境で同じスコアを期待するには、ハーネスとツールの権限をそろえる必要があります。

エージェントはシェルコマンドを実行できます。サンドボックス11や許可リスト12なしでリポジトリに接続すると、誤ってファイルを削除したり外部に送信したりする可能性があります。個人のリポジトリでも機密キーが入っていないか確認し、実行権限の範囲を狭めておいてください。

ライセンスと再配布の条件を確認します

FlintはApache 2.0ライセンスで配布されています。改変、再配布、商用利用が認められ、売上の基準もありません。ただしApache 2.0は著作権表示、変更の明示、特許条項への同意も伴います。チームのツールに組み込むときや再配布するときは、NOTICEとライセンスファイルを一緒に保管してください。

棚に脳の箱と紙の束、工具箱、モニターの箱が並び、下にノートPCがある図
262Kのコンテキストを使うとKVキャッシュも積み上がります。短いレビューから始めてコンテキストを増やし、余裕を確認してください。

用語の注釈

  1. MoE — 複数の専門家サブネットワークから入力に応じて一部を選ぶモデル構造です。総パラメータ数と1トークン処理時に有効な数は異なることがあります。

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  2. トークン — モデルが入力や出力を分けて処理する単位です。

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  3. GPU — 多くの計算を並列に処理するプロセッサーです。AIモデルの実行ではモデル計算を担います。

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  4. GGUF — モデル情報を格納するファイル形式で、llama.cpp系のツールで広く使われます。

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  5. ツール呼び出し — ファイル読み取り、検索、コマンド実行などの外部機能を、名前と引数でモデルが要求する形式です。実行の有無はエージェントランタイムと権限設定が決めます。

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  6. Transformer — 入力内の関係をAttentionを中心に計算するニューラルネットワーク構造です。言語のほか、画像・音声・動画モデルにも使われます。

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  7. Attention — 入力トークン間の関連度を計算し、各位置の情報を現在の表現に反映するニューラルネットワーク演算です。

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  8. KVキャッシュ — 過去トークンのAttention用キー・バリューを保存し、後続トークン生成で再利用するメモリです。容量はコンテキスト長やバッチサイズで変わります。

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  9. プロンプト — モデルに送る入力文です。生成モデルでは作りたい結果を説明する文になり、出力の構成や内容を大きく左右します。

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  10. 量子化 — モデルの重みや計算値を少ないビット数で表し、保存容量やメモリ使用量を減らす方法です。表現が粗くなるため、精度にも影響することがあります。

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  11. サンドボックス — プログラムがファイル、ネットワーク、ホスト機能にアクセスできる範囲を制限する隔離環境です。保護範囲はマウント、ネットワーク、実行権限の設定で変わります。

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  12. 許可リスト — あらかじめ許可した対象だけを使えるようにするポリシーです。ツール、コマンド、利用者、通信先などに適用できます。

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よくある質問

この記事で最初に確認すべきことは何ですか?
Flintは、Recursiveが2026年10月に公開したコーディングエージェント向けのMoEモデルです。総39.8B、トークンあたりの有効パラメータは約2.5B、コンテキストは262,144トークンです。ベンダー評価ではTerminal-Bench 2.1で54.9%、SWE-bench Pro v2で89.7%、SWE-bench Verifiedで74.2%を記録しました。ただし公式の実行手順はB300またはH200のGPU 1枚を前提とし、Transformersのモデリングコードはまだ提供されていません。個人PCで使うには別途配布されたGGUFとllama.cpp系の実行環境が必要で、その経路の性能はベンダーの数値と異なる場合があります。
必要なメモリはどのくらいですか?
この手順は個人用PCを前提としたものではありません。B300とH200はデータセンター向けのGPUで、個人が購入する機器とはメモリ構成が大きく異なります。個人環境で使うには別途配布された量子化GGUFを使う必要があり、その経路はベンダーが測定したものとは別の実行環境で動きます。
条件と出典はどこで確認できますか?
ベンダーはTerminal-Bench 2.1で54.9%、SWE-bench Pro v2で89.7%、SWE-bench Verifiedで74.2%を報告しています。モデルカードは評価条件も記載しています。温度1.0、top-p 0.95、top-k 20を使い、Terminal-BenchはTerminus 2、SWE-benchはmini-swe-agentハーネスで測定しました。エージェントのスコアは最低5回試行のpass@1平均です。