新規モデル · 2026.10.18

DeepSeek-V4.1-Flash-1017:取り直すファイルと実行条件

名前とファイルサイズは同じでも、1017はEngramとビジョン部分まで取り直す必要があります。

DeepSeek-V4.1-Flash-1017は9月のV4.1 Flashを再学習したチェックポイント1です。構造、1Mトークン2の文脈、MITライセンス、API3のモデル名deepseek-flashはそのままですが、48個の重みシャードがすべて差し替わりました。すでにローカルでV4.1 Flashを動かしているなら、同じフォルダーに上書きせず、Engramテーブルとビジョンファイルまで1017に揃えたうえで、いつもの作業を同じ条件でもう一度試してください。

実行条件と要点
  • 1017は構造を変えない再学習チェックポイントで、APIではdeepseek-flashの名前と価格がそのままです。
  • 48個のシャードがすべて変わり、Engram 2個とビジョン部分も含まれるため、9月のファイルと混ぜると気づかないまま別のモデルが動きます。
  • llama.cpp本体のV4.1対応PRはまだマージされておらず、サーバーGPU向けのvLLM・SGLangと専用MLX変換版が先です。

1017は新しいモデルではなく、同じ位置を埋めるチェックポイントです

2026年10月17日に公開されたV4.1-Flash-1017は、9月10日のV4.1 Flashを引き継ぐ再学習チェックポイントです。同社は小規模な更新と呼んでいますが、自社ベンチマークではTerminal-Bench 4.0が11.1ポイント、ProgramBenchが8.8ポイント上がり、同じ作業をより短い出力で終えます。ウェブ、アプリ、APIのモデル名はそのままで、APIではdeepseek-flashを使い続けます。

構造もそのままです。バックボーン552BとEngram 196B、DSparkドラフト、ビジョン部分を合わせて、モデルカードには763Bパラメータとして表示されます。1,048,576トークンの文脈、最大出力384K、MITライセンスも9月と同じです。ローカル利用者にとって重要なのは「何が増えたか」より「同じ位置のファイルが何に変わったか」です。

二つの引き出しを開けた書類キャビネット。書類がびっしり入り、右側に観葉植物と机の上の書類がある
名前もサイズも同じでも、1017では引き出しの中のファイルがすべて変わりました。

ファイル名とサイズは同じでも中身はすべて変わっています

公式リポジトリのsafetensors 48個は1017ですべて書き直されました。ファイル名と個別サイズは9月と同じですが、Engram n-gram4テーブル2個とビジョン部分も新しい値になっています。問題は、実行エンジンが通常ファイル名とテンソル形状だけを見て読み込むことです。9月のEngramテーブルを1017本体につないでも読み込みは成功し、回答もそれらしく見えます。しかしそれは1017ではなく、噛み合っていない組み合わせの結果です。

すでに9月のチェックポイントを持っているなら、同じフォルダーに上書きせず新しいフォルダーへ取り直してください。以前のフォルダーを削除するか名前を変えておくと、エンジンが古いファイルを拾う事故を減らせます。ダウンロード後はリポジトリのファイル一覧と、受け取ったシャードの名前・サイズを照合し、変換版ならそのリポジトリが提供するチェックサム一覧も確認します。

1017チェックポイントを別フォルダーへ取得し、サイズを確認
hf download deepseek-ai/DeepSeek-V4.1-Flash-1017 \
  --revision 1bae0e1088993b9b82de08f59de5be5a34e42170 \
  --local-dir ds41-1017
du -sh ds41-1017
リビジョンを固定すると後で同じファイルを取り直せます。48個のシャード合計が475.25GiBか確認してください。

取り直す量は実行形式によって大きく変わります

公式チェックポイントは48ファイル合計で510.3GB、2進単位では475.25GiBです。変換するには元ファイルと結果を並べて置く容量が必要で、実行中は重みに加えてKVキャッシュ5とランタイム6のメモリも要ります。1TB以上の空きを見込むのが安全ですが、これは計画用の計算であり公式の最低要件ではありません。

個人向け機材には二つの道があります。128GBのDGX Spark 1台を狙ったVQ GGUF7は、本体113.56GB、ビジョン補助0.97GB、Engram 203GBを別に置き、Engramはディスクから行単位で読みます。ダウンロード量は約318GBです。MLX8 3ビット変換版は変換シャード223.5GiBと元のEngram 189.1GiBを合わせて412.6GiBになります。どちらも1017自体の実行速度はまだ公開されていません。

左右にスクロールして各項目を比較できます。

実行形式ごとの保存構成と1017の測定状況
形式保存構成合計1017の実行測定
公式safetensorsシャード48個475.25GiB公式配布版
VQ GGUF (DGX Spark)本体113.56GB+ビジョン0.97GB+Engram 203GBダウンロード約318GB未測定
MLX LSQ3変換シャード223.5GiB+Engram 189.1GiB412.6GiB未測定

現在1017を読める経路はllama.cpp本体ではありません

llama.cppのDeepSeek V4.1対応PRは2026年9月10日に開かれ、10月18日時点でもマージされず競合したままです。そのため「llama.cppで動く」という案内は、多くがフォークや別の変換版を指します。本体ビルドで同じコマンドを実行すると、構造を認識できず失敗することがあります。

サーバー級GPU9ではvLLMとSGLangのレシピでこの構造を実行でき、NVIDIA Dynamoの文書もV4.1 Flashの配備を扱っています。ただしvLLMでは思考モードが既定で有効、effortの既定値が50のため、max_tokensを小さくすると推論だけで予算を使い切り、空のcontentとfinish_reason=lengthが返ることがあります。モデルの故障ではないので、thinkingを切るか出力予算を増やします。

プロンプト10形式にも注意が必要です。1017リポジトリにはJinjaチャットテンプレートがなく、encodingフォルダーのPython参照実装とdeepseek-recipeが同じ形式を提供します。先頭に空白が入るDSMLのツール呼び出し11タグや1〜100の数値effortを通常のテンプレートとして扱うと、会話がずれることがあります。

フォルダー状の書類が矢印に沿ってサーバーキャビネットへ入り、隣の机のノートPCに棒グラフとチェックリストが置かれた図
取り直したファイルは、実行エンジンが読む位置まで揃っていないと同じモデルとして動きません。

性能表では点数より作業あたりのコストを見ます

モデルカードの比較表では、1017は多くの項目で9月のモデルを上回り、一部のコーディング項目ではOpus 5も超えると報告されています。Terminal-Bench 4.0は31.2から42.3、DeepSWE v1.1は74.2から77.0、ProgramBenchは20.3から29.1へ上がりました。HLEは36.8から42.6へ改善しましたが、Opus 5の56.3には届きません。

これらの数値はベンダーが公開したハーネス条件での結果です。Terminal-BenchはClaude Codeハーネス、DeepSWEはMini-SWE-V2で測定しており、手元のマシンのtok/sや初回トークン待ちではありません。1017の実質的な改善は同じ作業を短い出力で終える点にあるため、ローカルでは「同じ要求で何トークン使うか」を9月のチェックポイントと比べるのが現実的です。

左右にスクロールして各項目を比較できます。

モデルカードで公開されたベンチマーク比較
ベンチマークV4.1-Flash-1017V4.1-Flash(9月)Opus 5
Terminal-Bench 4.042.331.251.8
DeepSWE v1.177.074.274.0
ProgramBench29.120.337.0
HLE(ツールなし)42.636.856.3

API料金はそのままですが、検索ツールは11月から有料です

APIではdeepseek-flashと旧名deepseek-v4-flashのどちらも1017に接続され、価格表も9月と同じです。キャッシュ一致の入力は100万トークンあたりオフピーク$0.003、ピーク$0.006、不一致の入力は$0.15と$0.3、出力は$0.6と$1.2です。ピークはUTCで平日01〜04時と06〜10時です。

新たに公開されたSearchとFetch APIは、成功した1,000リクエストごとにそれぞれ$0.75です。DeepSeek Harness、Claude Code、Codexからサーバーツールとして呼ぶ場合は2026年11月1日0時(北京時間)まで無料で、その後は課金されます。ローカルモデルでも検索を付けるとこの費用が別に発生する点を計算に入れてください。

deepseek-flash API価格(100万トークンあたり)
価格項目off-peakpeak
入力(キャッシュ一致)$0.003$0.006
入力(キャッシュ不一致)$0.15$0.3
出力$0.6$1.2

取り直す前に確認する順序

まず、このモデルをローカルで動かすかAPIで使うかを決めます。APIなら名前はそのままで構いません。ローカルなら、使っているエンジンがdeepseek_v41構造と1017リビジョンを実際に読み込めるか確認し、保存容量と変換用の余裕を見積もり、既存フォルダーと分けて取得したうえで、代表的な作業を同じ条件でもう一度実行します。

記録する値はリポジトリのリビジョン1bae0e1、使った変換版とランタイムのコミット、文脈長12、出力トークン数、初回トークンまでの時間です。9月のチェックポイントで安定して使えていた構成が1017で同じように動かないなら、新しいベンチマークの点数より先にその差を解消するほうが賢明です。

横に並んだ四台のサーバーラック、机の上に広げた図面とノギス、左側に観葉植物とマグカップ
1017を実際に提供する経路は、まだサーバー級GPUと専用ランタイムが中心です。

用語の注釈

  1. チェックポイント — 学習済みモデルの重みなどを保存したファイルです。同じモデル系列でも、版や用途によって異なるチェックポイントを使うことがあります。

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  2. トークン — モデルが入力や出力を分けて処理する単位です。

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  3. API — 別のコードからプログラムの機能を呼び出すための決められたインターフェースです。

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  4. n-gram — 連続するn個のトークンまたは項目からなる列です。文脈検索や投機的生成に使われるほか、一部モデルでは埋め込みテーブルの項目にもなります。

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  5. KVキャッシュ — 過去トークンのAttention用キー・バリューを保存し、後続トークン生成で再利用するメモリです。容量はコンテキスト長やバッチサイズで変わります。

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  6. ランタイム — プログラムの実行時に必要な機能を提供するソフトウェア環境です。ローカルAIではモデル実行エンジンを指すこともあります。

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  7. GGUF — モデル情報を格納するファイル形式で、llama.cpp系のツールで広く使われます。

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  8. MLX — Appleが開発する機械学習フレームワークで、Apple SiliconのCPUとGPUが共有するメモリを使ってモデルを実行します。

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  9. GPU — 多くの計算を並列に処理するプロセッサーです。AIモデルの実行ではモデル計算を担います。

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  10. プロンプト — モデルに送る入力文です。生成モデルでは作りたい結果を説明する文になり、出力の構成や内容を大きく左右します。

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  11. ツール呼び出し — ファイル読み取り、検索、コマンド実行などの外部機能を、名前と引数でモデルが要求する形式です。実行の有無はエージェントランタイムと権限設定が決めます。

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  12. コンテキスト長 — 1回のリクエストでモデルが扱える入力と生成内容のトークン範囲です。上限や実際のメモリ使用量はモデルと実行設定によります。

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よくある質問

この記事で最初に確認すべきことは何ですか?
DeepSeek-V4.1-Flash-1017は9月のV4.1 Flashを再学習したチェックポイントです。構造、1Mトークンの文脈、MITライセンス、APIのモデル名`deepseek-flash`はそのままですが、48個の重みシャードがすべて差し替わりました。すでにローカルでV4.1 Flashを動かしているなら、同じフォルダーに上書きせず、Engramテーブルとビジョンファイルまで1017に揃えたうえで、いつもの作業を同じ条件でもう一度試してください。
必要なメモリはどのくらいですか?
公式チェックポイントは48ファイル合計で510.3GB、2進単位では475.25GiBです。変換するには元ファイルと結果を並べて置く容量が必要で、実行中は重みに加えてKVキャッシュとランタイムのメモリも要ります。1TB以上の空きを見込むのが安全ですが、これは計画用の計算であり公式の最低要件ではありません。